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関西在住なのに東日本に思いを寄せる今日この頃 鉄分はほとんどありません…

   

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リンク貼らせてもらいましたv

 拍手ぽちぽちありがとうございます。
 落ち込むこともあるけれど、その一ぽちで元気になれる管理人です。

 信越もだけどマイペースな京浜東北書くのも楽しい。
 青春さんの路線は皆いきいきしてますね、また乗りにも出かけたいです。


 そして行けないけれど、委託させていただくことになったイベントですが

 2月19日に行われる 鉄道擬人化オンリー『ドリームエクスプレス!』です。
 http://dreamexpress.lapislazuri.net/top.html

 1号車 6B「ウザコト」様のところで預かっていただく予定になります。

 このサイトを作る以前からずっと一方的にお慕いしていたのですが、とても素敵なお話を拝見できます。
 上越上官も素敵だし、こまち様も素敵だし、一次の上越線も、一人歩きを始めてしまった親衛隊も。自分の言葉では素晴らしさが伝えられませんので、どうぞリンクからとんでいくことをお勧めします。



 さて、やっぱり行動が遅すぎる私は小ネタを半分ほど置いて仕事に行ってきます。
 残りはまた帰ってから…と、このパターンが続いていますが、ちょっと自分にプレッシャーをかけて頑張りたいと思います。

 追記。小ネタ上げなおしました。


 でもこの小ネタは新刊の蛇足なので、ここがカップリングじゃないと思っている方は見ないでくださいという不親切仕様です。でも別に新刊の中にカップリング描写を入れているわけではありません。
 山陽さんとジュニアです。




 
 ――助けてください。
 命を削ってのその願いに、頷かないわけがなかった。
 
 
「東海道ちゃんたら相変わらずひどい……」
 しくしくと。誰もいない廊下で泣き真似をしながら歩いている成人男性というのは、傍から見ていれば異様だろう。わかっていながらもそうせずにいられないのは、実は観客がいるからでも嘆く趣味があるからでもない。ただ単にそうとでもしなければどこまでも落ち込んでしまいそうな自分を自覚しているからだ。
 つい先ほどまで会っていた相手との会話に疲れ果てるのは今に始まったことではない。悪気がない、と言えば語弊になってしまうだろうが、彼に悪意があるわけではないのだ。ただ、何よりも自分の国の利益を追い求めるが故で。そしてそれは王としては十分に理解できることだからそれを困りこそすれ恨むことはない。ただそれでも、いちいち人の傷口に塩を塗り込むのはやめてほしいところで。
 誰がいなくとも愚痴を吐き出さなくては自分の中で消化することにも限界があるのだ。胃が痛いのか胸が痛いのか。もはや自分でもわからなくなってきた痛みの在処だが、とりあえず腹を押さえるようにして山陽は歩いていた。
「あれ?」
 ふと顔を上げた先に見える後ろ姿。それにふわりと山陽は頬を緩めた。
 ぴんと背筋を伸ばしたあの姿の主を山陽が見間違えるわけもない。
「じゅにあ!」
「え、うわ?!」
 追いついてその背を叩けば、びくりとひどく肩を揺らした青年は目を丸くしながら振り返った。いつも堂々と落ち着いた彼には珍しい行動だ。
「さんよう、さん?」
「はい、山陽さんです。どうしたの?」
 それほど強くたたいたつもりもないが、ぎゅっと自分の胸の前でかたく手をにぎりしめている彼の表情は晴れないものだった。
 どうしたのだろう? 悩みでもあるのか、そしてそれは自分が聞いてもいいものだろうか。一瞬迷った山陽だったが、ふと今の状況を思い出す。なんにしろ廊下の真ん中で立ちつくしているわけにもいかないだろう。
「あ、そうだ」
 きょろきょろとあたりを見渡すが誰もいない。それを確認して、山陽は扉へと手をかけた。
「何を」
 慌てる声は無視して、かたく握りしめた手を掴んでその部屋の中へと入る。
 それは資料室の一つだった。山陽も何度も利用したことのあるこの場所は、しかしそれほど多くの利用者がいるわけではない。重要な書類があるわけでもないこの場所は、鍵を閉めてしまえばそれこそ誰も入ってくることはないだろう。
 仮に二人を探そうとする者がいても、時間は稼げるはずだ。
「あの、山陽さん?」
 いったいこんなところに連れ込んで何の用なのかと訝しがる彼の手をぎゅっと握りしめる。その行動に戸惑ったように視線を揺らす彼を安心させるようににこりと笑いかけた。
「ちょっと補充させて」
 そう言えば、彼ははっと気づいたようにおとなしくなった。そのように伝えたのだから当然だろう。律儀な彼は、そう言ってしまえば山陽を拒むことなどしない。それは今までもだったが、きっと今はまた別の理由で。
 失敗したかな。
 彼が責任を感じるような物言いをしたことを、山陽は少し悔やんだ。
 山陽が言ったことはある意味事実だが、しかしその地位にあるものは皆強制されて無理にそこにいるわけではない。むしろそこにいることを誇りに思い、喜べる者ばかりだ。それはもちろん、山陽も。しかし、本来ならここにいるはずのない山陽の言葉では、説得力がないのかもしれない。
 山陽の為すがままにじっと身動きせずにいた青年は、難しい表情でやがて口を開いた。
「山陽さんは」
「ん?」
 しかし、言いかけた言葉を促せば、やはり彼はすぐさま口ごもった。そしてここのところ山陽に見せる動作をまた繰り返す。
「いいえ、すみません」
 俯く彼は何を謝るのだろう。
「じゅにあ?」
「……」
 最近ずっとこうだ。何かを言いかけるようにしてはただ山陽を見つめる彼は、いったい何を思っているのだろう。
 こんな彼の表情は珍しい。何しろ初めて会ったときに見せたのは必至に強張ったもので、その後もずっと厳しい表情を浮かべていることの方が多いのだから。
(ああ、いや違うな)
 彼の、兄のことを語るときだけは別だ。
 ふわりととても大事な柔らかいものを守るような笑顔は、嫉妬するのも馬鹿らしいほどだ。見ていて微笑ましくなる。大事なものを守る、その笑顔ごと守りたくなる。そんな風に思えてしまうのは自分の存在ゆえか。
「……何がそんなに楽しいんですか?」
 じっと見られていることに居心地が悪くなったのだろう。そろそろと顔を上げた彼は、山陽を見ると困惑気な表情を浮かべる。
「ん? ジュニアを見ているのは楽しいよ」
「そんなに変な顔しています?」
 自分の顔をぺたりとさわる彼は怒った様子もなく顔を顰める。
「いや、いつも通り男前だと思うけど」
「……」
 何やら呆れられたような気がするが本音なのだから仕方ない。
「いっつもきりっとしてるからさ。たまには泣き顔とか見せてくれてもいいのよ?」
「なんですかそれは」
 困ったような表情。しかしそれはやはり男前だ。しっかりと自分を持った一人の青年のものだ。
 彼は普段そう多くの表情を見せることはない。彼の育った環境のせいかその地位のせいか。それが山陽の前で変わるのが楽しいと言えば、彼は怒るだろうか。
 全部。彼の表情は全部見たい。そう思ってしまうのはただの我儘だと知っているけれど。
「俺ジュニアの泣き顔見たことないんだよな」
「そんなの見てどうするんです」
「最初泣いてるのかと思ったのに」
「そういえば前もそんなこと言ってましたね」
 こどもが泣いている。そんな気がしてやってきた場所にいたのは厳しい表情の青年で、最初は何の間違いなのかと思った。自分の勘もくるったものだと思ったのもつかの間。すぐにその理由はわかったけれど。
「でも泣いてただろう?」
「……どうでしょうね」
 姿ではない。その本質に喚ばれて自分は来たのだから。喚んだのは彼でも応えようと思ったのは自分なのだから、何も彼が気にすることはないのだ。
「補充ですか?」
「うん」
 ぎゅっとその手だけでなく身体ごと抱きしめる。
 どうか彼が泣いていいのだと気づけますように。
 その場所がここだと知ってくれれば一番いいのだけれど。


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