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関西在住なのに東日本に思いを寄せる今日この頃 鉄分はほとんどありません…

   

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2011年10月拍手お礼文+


 最近こんな妄想が止まりません。
 RPGといえばドラクエとFFとTOFという管理人です。

 冬の本はこの妄想小ネタがベースになるものと思われます。




 勇者根岸から派生した妄想。

 

「へえ、中の国と協定結ぶんだ」
「……」
 手にしていた書類が取り上げられるとほぼ同時。楽しげな声が頭上から降ってくる。
 首を捻って東北がそちらを仰げば、何度見ても一瞬息をのまずにいられない美貌が視界に入った。
 白皙の頬にかかる黒髪は艶やかで、そのコントラストに彩りを与えるかのように血の気が通っていることがようやくわかる赤い唇が目を惹いた。それに吸い寄せられそうになるのをかろうじて抑える。
 彼との出会いはすでにもう遠い昔のこと。それなのに、いまだに直視することに慣れない自分に目を伏せて東北は軽く舌打ちをした。
 そんな自分をどう見ているのか、すっと目を細めた彼は一転つまらなそうな表情を浮かべた。
 失望されたのだろうか。何のリアクションもすぐには返せない自分に。
 それとも、まだ決定ではないからと協定の話を伝えていないことに腹を立てたのだろうか。
 いずれにしろ、咄嗟に弁解する言葉も出てこない東北には事実を告げることしかできない。
「……魔王の力は一国で相手をするには強大すぎる」
「ふうん」
 だからそれだけを伝えれば、納得しているのかいないのか。真意をつかみにくい相槌が返ってきた。
 中の国や西の国と違い、東の国はいくつかの地方が寄り集まってできた『唯一の王』というものが存在しない国だ。他国との交渉事には代表として東北が赴くことが多いが、実際のところどの地方が優位に立っているというわけでもない。それぞれがそれぞれの足りないところを補い合って成り立っているこの国では、だからこそ連携をとることが重要だった。どの地方も納得のできるような結果を手に入れなければならない。
 そして、今。微妙な均衡で保たれている各国との調整のために東北は頭を悩ませていた。
 上越が手にしているその書類の中身もその一部だ。東の国には中の国と境界を接する地域と西の国と境界を接する地域がある。そして彼の治める地はその西の国との境がある。中の国に半ば攻め込まれるようにして協定を結んだという話は当然伝わっているはずだ。要するに、今ぺたりと懐くように自分の背によりかかる上越にも関係ないはずがないというのに。彼はそんなことなど何も知らないとでもいうかのように書類をひらひらと振っていた。
「そういえば最近勇者やってる子と知り合ったよ。変わった魔術師と組んでたけどあれは良いパーティになりそうだったな」
「……おまえは何をしてるんだ」
 国の直属の騎士とは違い、最近は冒険者という職業が出てきているのは東北も知っている。そういった者たちによって市井の安全が守られているということも。他世界からの侵略者に対抗するために駆り出される騎士たちだけでは、この国も人も守ることはできない。だから彼らの存在は重要だ。しかしそうといっても国としては系統だった組織ではない彼らたちにはある程度までしか援助できない。つまり上にいる自分たちとの関わりも薄いというのに、どこでどう知り合ったというのか。
「えー、ちゃんと仕事はしてるよ」
 にっこりと笑うその表情のどこまでが真実なのだろう。すい、と背後から負ぶさるように腕を回してきた彼の顔は息が触れそうなほど近い。
 東北の心臓がドキリと音をたてたことに気づいたのだろうか、彼は再び楽しそうに笑った。
「だって僕を喚びだしたのは君でしょう」




ちゅうにと言われようと楽しいからいいや。 ジョブ考えてたら上越上官が召喚獣?にしか思えなくなってしまった妄想でした。(魔王じゃないよ)


 

「いってえ! もっとそっとやれよ!」
 ぺしっと。
 薬草を傷口に当てたついでに叩いてみれば、その相手は涙目でうめいた。
「ええ? これいじょうそっとなんて、舐めろって言ってるの?」
「な、舐め?! 誰がそんなこと言った!」
 それは森の奥。折れた大木に腰掛けた剣士は、その言葉とは裏腹にまだじわじわと滲んでくる血など気にした様子もなく腕を振り上げた。それを、仲間である眼鏡の青年が一言で止める。
「うるさいよ高崎」
「だって、宇都宮が!」
「それがうるさいって言ってるの。いちいち声を張り上げない」
「う」
「宇都宮も早く治して。高崎が怪我するとこのパーティ物理攻撃力極端に下がるんだから」
「はーい」
「なんで根岸の言うことはそんな素直に聞くんだよ…」
「愛の差?」
「……」
「そこで落ち込まない、高崎。宇都宮、余計なことは言わなくていいよ。愛がどう偏ってるかなんて僕は聞きたくないから」
「おや、よくわかってるみたいだね」
「まあね」
 にっこり笑いあう二人はしかし、その愛などどこへやらと言った雰囲気を漂わせている。
「なんだよ、おまえら」
 本能的にその薄気味の悪さだけを感じた剣士は、訝しげにそんな仲間たちを見やった。
 ふふ、とその問いには答えずに笑みだけ返したパーティの僧侶は、傍らの剣士の腕へと手を伸ばした。
「MPもったいないけど仕方ないから治してあげるよ」
「……そこまで言うなら治さなくてもいい」
「おや」
「君がからかいすぎるから拗ねたじゃないか、宇都宮」
「これは困ったね」
「拗ねてない」
 ぷい、とそっぽを向くその様子は本人がどう言おうとも明らかに拗ねている。僧侶が顔を覗き込めば表情を見られまいとするかのようにさらに顔をそむける。
「ふうん、やっぱり舐めた方が良いってこと?」
「なんでそうなるんだよ!」
「あ、こっち向いた」
「……!」
「はいはい、陽のあるうちにここを抜けるから、おとなしく治されてね、高崎」



 剣士と勇者が水を探しに行くとその場を離れた後。荷物番をしている僧侶のもとに影が降りたった。
「おい」
「うん、常磐。何?」
「いつまで僧侶のまねごとなんかやってるんだ?」
「ちょっと楽しくなっちゃってね」
「まあいいけどさ。狩るんだか狩られるんだかはっきりしろよ? こっちだって盤石の体勢ってわけじゃないんだからな」
「へえ。僕が間違うとでも?」
「……あー、悪かったよ。向こうにはそう言っておく」
 じゃまたな、魔王様。
 来た時と同様に、その影は音もなく消え去った。


 

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